【第6回】自律神経はあらゆる病気につながっている

【第6回】自律神経はあらゆる病気につながっている

円形脱毛の原因を探るのに、ストレスと自律神経と免疫の関係を明らかにすることが1番の近道だと思います。

"精神-神経-免疫学"という精神(心やストレス)と神経(自律神経)と免疫の関係を研究するという学問があるくらいですから、関係があることは広く知られています。まるで円形脱毛症の原因論と同じですね。

3匹のワンちゃんが尻尾をかみ合ってクルクルまわっているような感じです。

どの犬に焦点を合わせるかで「ストレス説」、「自己免疫説」、「自律神経失調説」と言うように違う主張がされると考えると分かりやすいです。

この関係を独自の立場で明らかにしたのが、安保 徹(あぼ とおる)先生と福田 稔(ふくだ みのる)先生が協力して確立した"自律神経免疫理論"です。とても残念なことに両先生とも亡くなられてしまいましたが、この不変の理論は、私が理事長を務める「自律神経病研究会」がしっかりと受け継ぎ、世の中に広めていこうと考えています。

自律神経とは

"自律神経"ということばを知らない人はいないと思います。しかし、その実態は知らないという人がほとんどです。円形脱毛症の原因を知る上で"絶対に必要"なので簡単に説明しましょう。

人には二つの神経系があります。一つはわれわれが日常の活動を行う時に働く"動物神経系"です。もう一つは"植物神経系"と言われる自律神経の系統です。

自律神経というのは、交感神経と副交感神経という反対の機能を持つ神経で構成されていて、生きるために身体の調節を行うもっとも基本となるものです。ですからこの二つの神経系のバランスが崩れると、身体のバランスが崩れて身体にいろいろな病気が起こってしまうのです。

交感神経は主に活動状態で活発になります。運動したり、議論したり、怒ったりする時など、エネルギーを使う時にとても活発に働き、身体を緊張状態にします。

一方、副交感神経は、身体を休め消化して栄養を取り込んだり、眠ったりしてエネルギーを蓄える時に活発に働きます。そして両者は常に強弱の関係でシーソーのようにバランスを取って動いています。メトロノームのように交換~副交感~交感~と切り替わりながらバランスを取っているという言い方も分かりやすいです。

このように自律神経というのは目立たないシステムですが、身体が順調に働くように調整する大切な仕組みなのです。この自律神経のシステムが不調になると身体の弱いところに故障(病気)が起きます。

これを自律神経病研究会では"自律神経病"と呼んで研究しています。「自律神経はあらゆる病気につながっている」という考え方です。自律神経の不調で病気になると言われても、ピンとこないと思いますので、まずはこの理論を理解することから始めましょう。

白血球の割合に注目!

白血球と自律神経

皆さん、白血球というのはご存じだと思います。身体を細菌やウイルスといった外敵から守る役割を持った細胞です。この白血球には顆粒(かりゅう)球という顕微鏡で見ると細胞の中に顆粒(かりゅう)を持った細胞とリンパ球という細胞があり、この両者で白血球の約95%以上を占めます。

この顆粒(かりゅう)球とリンパ球の割合が大切で、顆粒(かりゅう)球が35~60%、リンパ球が35~41%の中にある時には、自律神経や免疫力は正常な状態であるということになります。

反対に、この割合の範囲から外れると自律神経のバランスが崩れた状態になり、身体に何らかの異常が起きてくる、つまり病気になるということです。ではどんな病気が考えられるのでしょうか。興味深いですね。

自律神経が乱れることで引き起こされる病気

病気のメカニズム

顆粒(かりゅう)球編

顆粒(かりゅう)球が多いと過剰な活性酸素の放出により炎症性の病気が起こります。活性酸素というのは身体の中にある毒性の強い酸素のことですが、この活性酸素が組織を破壊します。中でも1番やられやすいのが粘膜です。

粘膜というのは目、鼻、口、肺気管支系の粘膜、それから食道から始まり肛門でおわる消化管、泌尿器系のぼうこう)など、男性の前立腺、女性の子宮、膣(ちつ)などの表面は全て粘膜組織で覆われています。1番知られているのは、胃十二指腸潰瘍です。潰瘍性大腸炎も有名ですね。

外界と接する皮膚でも毛穴に炎症が起きれば、ニキビ、毛嚢炎(もうのうえん)が起こり、皮膚そのものには皮膚炎が起こります。血管の内側も動脈硬化が起こり、心筋梗塞や、脳梗塞、糖尿病など多くの内臓系の疾患が起こります。

リンパ球編

一方、リンパ球が多すぎるとどのような状態が起こりやすいのでしょう。

リンパ球というのはウイルスなどの微小な異物を排除する役割があります。リンパ球が過剰に働くと微小な花粉やハウスダストなどに反応して花粉症やアトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどを起こすことになります。

もう一つ問題になるのは、自分の身体の組織に対する反応を起こすことです。代表的なものは関節リウマチ、橋本病、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症などで、これを自己免疫疾患と言い、「免疫細胞が自分の身体を攻撃してしまう病気」とされています。詳しくその発症の機序を説明すると長くなりますので、今は省略します。

円形脱毛症も皮膚科では自己免疫疾患とされています。しかしこれは一時的なことが多いので、私は自己免疫反応と呼んでいます。

最後に登場するのが、ガンや肉腫などです。安保先生はこれらの病気も自律神経の不調が原因で起こるとしています。この話に突っ込むとエンドレスになるので、今回はやめます。

このように自律神経免疫理論は、「自律神経の不調が病気の原因になっている」ことがとても多いことを指摘していると考えてください。

おわりに

この「病気が自律神経の不調から起こってくる」という理論を承知している方がどれだけいるか分かりませんが、とても大切なことですから覚えておいてください。自律神経の理解は円形脱毛の原因を考える上でとても大切なのです。

次回は「円形脱毛がどうして起こるのか」について考えてみましょう。

著者情報

永野剛造(医学博士・日本自律神経病研究会理事長)

永野先生

昭和50年:慈恵医大卒業・麻酔科研修開始
昭和52年:慈恵医大麻酔科入局
昭和59年:富士中央病院麻酔科部長
昭和62年:慈恵医大皮膚科入局
平成3年:同退局
平成4年:永野医院を開業し、現在に至る

  • ・円形脱毛症などの脱毛症やアトピー性皮膚炎などを、西洋医学と針などの東洋医学を併用して治療にあたっている
  • ・16年前から安保徹先生、福田稔先生と自律神経と免疫の研究を行い、現在、「自律神経病研究会」の理事長を務める
  • ・独自の波動測定によりエネルギーの研究、治療を得意とし、脱毛症の治療に特別な成績を残している。

 

免責事項
本稿で引用されている専門家や組織の見解と意見は、あくまでも各自のものであり、必ずしも属する機関や協会、またディーエムソリューション株式会社の意見を代表するものではありません。 本記事に記載されている情報は、他の専門家によるアドバイスとは異なる可能性があります。特定の健康上の懸念がある場合は、個別事象の専門家に直接ご相談ください。

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