【第12回】自律神経免疫理論と円形脱毛

【第12回】自律神経免疫理論と円形脱毛

前回は壮年性脱毛の特徴がよくわかる研究内容をご紹介しました。ただし、同時に円形脱毛ではあまり体の不調を感じていないこともわかりました。

女性はほとんどの方が冷え、肩こりを訴えますので、この研究の対象が男性の円形脱毛であるということが関係していると思います。男性の場合、肩こりや冷えという認識がないことがとても多い様です。

もっとも大切な体の仕組みとはなんでしょう?

さて、それでは本題です。以下のキーワードをご覧ください。

  • (故)安保徹新潟大学名誉教授
  • 爪もみ療法
  • 自律神経免疫理論
  • シラク療法
  • 自律神経病

これらのことに関して知識のある方はどのくらいおられるでしょう。名前くらい聞いたことがあるという程度でも良いのですが。

これまでに、ご自身やご家族、親しい友人などが大きな病気にかかったことがない方には無縁の項目かもしれません。しかし円形脱毛とは密接な関係があるものです。

上の表で、「安保徹新潟大学名誉教授」と書きましたが、安保徹先生とは新潟大学の免疫学の教授で、世界的な実績を残された先生です。残念な事にH28年12月に急逝されました。

自律神経免疫理論というのは、安保先生と福田稔先生(両故人)が共同研究して突き止めた、極めて大切な理論です。その経緯から始めるととても長くなってしまうので、さっそく理論の解説をしましょう。

われわれが生きていく上で最も大切な体の仕組みはなんでしょう?一般の方でこの質問にすらすら答えられる方は、そうとう進んだ方です。なんとなく想像がつく様な、つかない様な…そういった方がほとんどでしょう。

その答えというのが「自律神経」です。

植物神経系と動物神経系の違い

生きていくために体のバランスをとっていくというのが自律神経系と言われる神経系で「植物神経系」と呼ばれています。

一般的に言われる神経とはほとんどの場合「運動神経と感覚神経」のことを言いますが、これらは「動物神経系」と呼ばれ、活動するために進化した神経系です。

これから問題にするのは植物神経系と言われる「自律神経」についてです。結論から言えば、「われわれが生きていくためには自律神経がイキイキとバランスよく働いていることが必要だ」ということです。

安保先生の自律神経免疫理論

それでは安保先生の自律神経免疫理論を説明しましょう。この理論は初期の理論とそれを進化発展させた現在の理論に分かれます。

安保先生の著書は、これまでに100冊以上出版されていますが、多くは初期の理論をベースにしたものです。

全ては福田先生の気づきから始まった

まず初期の理論を説明しましょう。ことの始まりは福田稔先生の気づきからです。

ゴルフの大好きな外科医の福田先生は新潟市に住んでいましたが、天気の良い高気圧に覆われて、今日は絶好のゴルフ日和だと張り切る時に限って、なぜか重症の虫垂炎が運ばれて来てゴルフが中止になってしまうことが続きました。

逆にどんよりとした天気で低気圧の日には軽症の虫垂炎が多いのです。そこで、考えた末に「虫垂炎の重症度は天気に関係あるのではないか」という仮説が生まれました。

この自説を会う人ごとに話したようですが、誰も相手にしてくれないので、自分で気圧計を買って毎日気圧をチェックしたそうです。その結果、ますます確信を得た福田先生は、とうとう安保先生のところに行き着きました。

安保先生は新潟大学の免疫学の教授で、白血球の中のリンパ球の研究では世界的な業績を残した方で、福田先生の理論を理解してくれました。

虫垂炎というのは俗にいう盲腸炎(もうちょうえん)で、盲腸の先端にある虫垂と言うところの炎症反応です。炎症反応は白血球によって起こりますから、白血球の専門家である安保先生にはとても魅力的な話だったのだと思います。

身を挺して発見した新理論

今度は安保先生が毎日自分の血を採血して人体実験を始めたのです。何かやる人は普通の人とはちょっと違うと思いませんか。

そこで見つけたのが、自律神経と白血球の関係です。交感神経が強いと顆粒(かりゅう)球が増え、副交感神経が強いとリンパ球が増えるという関係を発見したのです。

これだけの話では理解できないと思いますので、両者の関係性を説明します。

自律神経は交感神経と副交感神経でできていて、活動する時には交感神経が強く働き、休んでエネルギーを蓄える時には副交感神経が強く働きます。これが自律神経の基本的な働きです。

そして自律神経のバランスの状態を知ると、体全体の状態を知ることになるのです。このように自律神経のバランスを知ることはとても大切なことなのですが、実際に測定するとなるとなかなか難しいのです。

自律神経は、いろいろな形で研究されています。生理学で研究されて来た心拍拍動を測定する器械が最も信頼度が高いのですが、高価で簡単に手に入れることはできません。

誰でも簡単に自律神経の状態を知ることができる方法があれば、その人の健康状態を知るのにとても役に立つのです。両先生が見つけられた自律神経の法則はこれを容易に、安価にできるところにとても大きな意味があるのです。

シラク療法の確立とともに自律神経免疫治療研究会を立ち上げる

この発見から大きな進展が見られました。福田先生が自律神経を整える治療法として、独自のシラク療法を確立したのです。

これは、初期に注射針をブスブスと刺して悪い血と気を流し出すというものでした。悪い毒を体外に排出するという考えが元になっているので、とても激しい治療です。

しかし、その効果は素晴らしいものでした。毎日アトピー性皮膚炎、ガンなどの患者が70~80人福田先生の治療を受け、大変な効果が見られたのです。テレビでも取り上げられるなど大きな話題となりました。

その時に立ちあげたのが「自律神経免疫治療研究会」です。これまで、実に16年間続いています。現在は、発展形の「自律神経病研究会」に改名していますが、これにも理由があります。でもそれは次の機会に説明することにしましょう。

私と安保先生との出会い

ここまで、福田・安保の自律神経免疫理論の話をして来ましたが、私は現在この会の責任者をしています。なぜそのように深く関わったかというところに、円形脱毛症が関係しているのです。

それは、皮膚科に在籍中のことでした。「皮膚科心身医学研究会」という勉強会がありました。その時の講師に安保先生が招かれて自律神経と白血球の関係のお話をされました。その内容が、私が考えていた円形脱毛症発症の原因とピタリ一致したのです。

この時の講演の内容を理解したのは私以外には数人の皮膚科の先生だったと思います。次の休診日に新潟まで安保先生に会いに行き、2時間以上話をしたのが懐かしく思い出されます。その時以来の安保先生とのお付き合いで、今は自律神経病研究会の理事長を務めています。

おわりに

円形脱毛症が自律神経と関係しているとの信念を裏打ちしてくれたのが、安保先生の自律神経免疫理論です。

今回は安保理論の紹介でしたが、この理論をしっかり理解していただくと、ほとんどの病気を理解できるようになります。次回は、その続きを紹介したいと思います。

著者情報

永野剛造(医学博士・日本自律神経病研究会理事長)

永野先生

昭和50年:慈恵医大卒業・麻酔科研修開始
昭和52年:慈恵医大麻酔科入局
昭和59年:富士中央病院麻酔科部長
昭和62年:慈恵医大皮膚科入局
平成3年:同退局
平成4年:永野医院を開業し、現在に至る

  • ・円形脱毛症などの脱毛症やアトピー性皮膚炎などを、西洋医学と針などの東洋医学を併用して治療にあたっている
  • ・16年前から安保徹先生、福田稔先生と自律神経と免疫の研究を行い、現在、「自律神経病研究会」の理事長をつとめる
  • ・独自の波動測定によりエネルギーの研究、治療を得意とし、脱毛症の治療に特別な成績を残している。

 

免責事項
本稿で引用されている専門家や組織の見解と意見は、あくまでも各自のものであり、必ずしも属する機関や協会、またディーエムソリューションズ株式会社の意見を代表するものではありません。 本記事に記載されている情報は、他の専門家によるアドバイスとは異なる可能性があります。特定の健康上の懸念がある場合は、個別事象の専門家に直接ご相談ください。

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