【第1回】自己紹介を兼ねてこれまでの脱毛症との関わりを紹介します

【第1回】自己紹介を兼ねてこれまでの脱毛症との関わりを紹介します

昭和55年から、円形脱毛症の治療を専門にして37年になりました。私の医師としての現役生活も終盤になり、いつ引退してもおかしくない時が近づいてきているようです。

今回依頼された脱毛症のコラムはこれまでの自分の歴史を残すものとしてちょうど良いと考えてお引き受けしました。ここに円形脱毛症の全てを書いてみたいと思います。

ただし、皮膚科本流の主張とは正反対に近く、学会からは無視される考え方であることをご了承ください。ですから自分の意見を皮膚科学会で発表することはありませんでした。1人の皮膚科医と皮膚科学会とが議論したところで、あまり意味がないでしょう。

ただ、私の拙著「病気は治ったもの勝ち」(丸山修寛先生との共著)のように、「治る治療か否か」が大切なので、お読みになる方の賢明な判断をお願いいたします。

星状神経節ブロックとの出会い

皆さん、こんにちは。これからこの脱毛症のコラムを担当する永野と申します。はじめに自己紹介を兼ねて、思い出話を書かせていただきます。

私は、大学を卒業して、麻酔科の勉強をしました。今でこそ麻酔科というのはよく知られていますが、私が卒業した昭和50年頃には、「そんな科もあるんですか?」という患者さんもいるくらい、できてから間もないマイナーな診療科でした。麻酔科の仕事としては通常の手術の麻酔をかける事の他に、救急医療、ペインクリニック等があり、私はその中でも中国の針治療にとても興味を持っていました。

そこで手術の麻酔の他に、ペインクリニックと針を勉強しようと思い、麻酔科を選択したのです。麻酔科に入って5年ほどたった昭和55年に、皮膚科の先生から円形脱毛症の治療を依頼されました。

キッカケは大学で麻酔科のペインクリニックの外来をしていた時に、皮膚科の先生から重症の全頭型円形脱毛症の患者さんを紹介され、星状神経節ブロックといって、首の付け根にある星状神経節という神経に麻酔薬を注射する治療を頼まれたのが始まりです。

この結果がすごかった。とても信じられなかったのですが、2カ月たったら髪の毛がドンドン復活してきて治ってしまったのです。それ以来、皮膚科からは数十人の患者を依頼され、かなりの成果が得られました。それがマスコミに知れて評判になり、新聞、雑誌に取り上げられました。この時代に書いたのが以下の論文です。

  1. 1.脱毛症の星状神経節ブロックによる治療 ペインクリニック:7,3,333,1986.
  2. 2.円形脱毛症に対する星状神経節ブロック(2報)皮膚臨床:30.13.1665,1988.
  3. 3.その他の論文

記念すべきブロック治療の一例目

症例写真1症例写真2

写真は歴史的第1例です。前述の「脱毛症の星状神経節ブロックによる治療 ペインクリニック」に掲載したものです。

写真1は、27歳男性で2年前に外国でパーマをかけた後に頭部に脱毛が起こり全身に及んだものです。ステロイドの内服などさまざまな皮膚科治療を試みたが効果が見られ無かったため、皮膚科の先生から星状神経節ブロックを依頼され、皮膚科の先生と一緒に治療を行いました。

そして写真2が週1~2回、2カ月で体毛が出現し、2年経過(ブロック77回)した状態です。この時点では完全治癒とはいきませんでしたが、順調に経過しました。

この症例は円形脱毛症の知識などが無かった私にとってほんとうに衝撃的なものだったのです。

判定基準とSGB(星型神経節ブロック)の効果

効果測定の基準

治療の効果判定の基準は「完治、著効、有効、やや有効、無効」の5段階で、有効以上を効果ありとしました。発症から治療開始までの期間で治療効果に差がある事がわかったので、発症から治療開始までの期間を1年未満と1年以上に分けました。

全頭型31例、多発型27例です。1年未満は自然に回復する症例が多く、全頭型では86%、多発型では100%の有効率です。そして、1年以上では全頭型41%、多発型80%と大きな差が見られました。全頭型というのは被害が大きいものですから、治療効果が落ちるのは仕方ない事ですが、それでも治療期間1年以内なので、有効率41%は立派な成果だと思います。

聞きつけた週刊誌が「はげが治るブロック治療」と取り上げたので、外来はパニック状態になってしまいました。当時はペインクリニックが大変注目されていた時代でしたが、このようなはっきりした結果が出たことで強い関心を持たれたのでしょう。

脱毛症と自律神経の関連性に気付く

週刊誌などにも取り上げられ、大騒ぎになったブロック治療ですが「なぜ星状神経節ブロックが効いたか」と思われると思います。当時、ペインクリニックは、五反田にある関東逓信病院(今のNTT東日本関東病院)が最先端で、若杉文吉先生を中心に神経ブロック療法を広めていました。星状神経節ブロックは頸部の交感神経を局所麻酔剤で一時的に麻痺させる治療で、交感神経の緊張を緩めることで、自律神経のバランスを正常化する治療です。

つまり、自律神経のアンバランスを調整したことで脱毛症が回復したということなのです。このような経験から円形脱毛症の治療家となった私は、必然的に「自律神経を中心に脱毛症を考える」ようになりました。これがはじめのころの考え方です。

麻酔科から皮膚科へと転身、そして現在へ

ところが、ブロックを中心に治療していたころは、あくまで皮膚科の先生の下請け治療です。皮膚科の先生が患者の主治医で治療を依頼してくるのです。「このままではほんとうに患者を治せる医者になれない。どうせやるなら皮膚科に入って、心から脱毛症を理解して患者さんを診て治したい。」私は自然な欲求として、円形脱毛症の全てを知って、治せるようになりたいと思いました。

昭和60年ころになると、自分で円形脱毛を治せるようになりたいという気持ちを抑える事ができなくなり、慈恵医大の麻酔科から皮膚科に移ることにしました。これが私の大学時代の移り変わりですが、ほんとうに不思議なご縁で円形脱毛と取り組むようになりました。

大学で5年間皮膚科の勉強をした時に、父親が亡くなったことがキッカケで、東京都渋谷区で脱毛症を専門に皮膚科を開業する事に踏み切りました。

おわりに

次回は「徹底的に円形脱毛」と題し、円形脱毛の原因について私の見解を述べたいと思います。ぜひお楽しみに。

著者情報

永野剛造(医学博士・日本自律神経病研究会理事長)

永野先生

昭和50年:慈恵医大卒業・麻酔科研修開始
昭和52年:慈恵医大麻酔科入局
昭和59年:富士中央病院麻酔科部長
昭和62年:慈恵医大皮膚科入局
平成3年:同退局
平成4年:永野医院を開業し、現在に至る

  • ・円形脱毛症などの脱毛症やアトピー性皮膚炎などを、西洋医学と針などの東洋医学を併用して治療にあたっている
  • ・16年前から安保徹先生、福田稔先生と自律神経と免疫の研究を行い、現在、「自律神経病研究会」の理事長をつとめる
  • ・独自の波動測定によりエネルギーの研究、治療を得意とし、脱毛症の治療に特別な成績を残している。

 

免責事項
本稿で引用されている専門家や組織の見解と意見は、あくまでも各自のものであり、必ずしも属する機関や協会、またディーエムソリューション株式会社の意見を代表するものではありません。 本記事に記載されている情報は、他の専門家によるアドバイスとは異なる可能性があります。特定の健康上の懸念がある場合は、個別事象の専門家に直接ご相談ください。

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