【第7回】円形脱毛はどうして起こるのか

【第7回】円形脱毛はどうして起こるのか

それでは、今回は円形脱毛の起こる流れから説明しましょう。あくまでも個人的な解説で皮膚科学会の意見とは異なります。

円形脱毛症の発症機序の説明には、東洋医学的な説明と西洋医学的な説明があります。西洋医学的には「自己免疫疾患」で片付けられています。

これから説明する内容はどちらも皮膚科学会では認められないような、現代医学とは正反対の考え方です。丁寧に説明しますから、1回では終わらないかもしれません。

一般的に認められている毛髪の常識 

まず西洋医学的な考え方で説明をしてみましょう。毛髪の一番の特徴を確認してください。

毛髪はおよそ10万本と言われ、月に1cm伸びることは常識で、成長が猛烈に早い組織だといわれています。髪の毛は月に1cmも伸びる頑張り屋さんですね。月に1回散髪しないと髪型が整わなくなるのは、皆さん実感しているでしょう。

さらにいえば、その後5年間も成長を続けるという、とても寿命の長い組織です。これが常識です。ここまでは誰も異存のないところで、誰でも認めるでしょう。おそらく身体の中でも1~2を争う分裂のスピードです。

成長、分裂が速いということは栄養やエネルギーがたくさん必要だということです。栄養やエネルギーをたくさん必要とするということは、血液が隅々にまで行き渡らなければならないということで、じゅうぶんな血液の量が必要だということになります。

頭皮における毛細血管の仕組みとは

次に血液の話に進みましょう。血液は心臓から送り出されますが、頭には左右の前頭動脈、側頭動脈、後頭動脈の計6本の血管があり、これらの血管を血液が通っており、栄養が運ばれているのです。

血管はドンドン枝分かれして、毛細血管になって行き、終末毛細血管に分かれた終点のところに「毛の組織」があります。ちなみに毛の組織は模式的に描くと図の様になっています。

毛髪の組織

血管は毛球というところに入り込み、毛母細胞に栄養を渡します。時々週刊誌等にこのような図が出てくることがありますので、ご存じの方も多いでしょう。

これだけ複雑な仕組みが毛の組織にはあるということを理解してください。毛細血管と言いましたが、身体の内側にある組織の毛細血管とは置かれた条件が違い、頭皮の毛細血管はいろいろ外的影響を受けます。

一番影響があるのは気温です。外が寒いと表面の血管は収縮して手足が冷たくなります。典型的な症状が"しもやけ"です。もっとひどくなると、"凍傷"になって組織が腐ってしまい、ひどいと指が死んで取れてしまいます。

このような影響を頭皮の血管も受けているのですから、寒さで血管がキューと収縮してしまうと血流はほとんど止まってしまいます。それでも血流ゼロということではないですから、死んでしまうということはありません。

そんな過酷な条件でも生き延びる力を毛髪は持っているのです。すごいですね…このような組織が毛髪なのです。

宮沢賢治の「雨にも負けず、風にも負けず、~~~」のように、過酷な条件にもかかわらず、暑さ寒さにも負けずに成長し続ける毛髪に栄養を送り続ける毛細血管ですが、これを調整しているのが自律神経です。

前回、自律神経の概要についてははお話ししました。皆さん、髪の毛についてここまで考えたことがありますか。まずないと思います。今日から毛髪について再認識してください。

自律神経の働きを調べるには白血球の割合をみること

それでは、自律神経がバランスよく働いているかどうかを知る方法はあるのでしょうか。

器械を使って心臓の心拍を分析するという方法が開発、改良されて、ずいぶん正確に自律神経の状態を知ることができるようになりました。この方法は器械を取り付けて、脈拍や血圧を測るものなので面倒なのです。

もう一つの方法が、採血して白血球の分画を調べる方法です。福田先生と安保先生が15年以上前に共同研究で見つけられたとても重要な判定法です。血液検査が必要ですが、日本中どこでも採血しますので、どこでもできます。

ただし、その意義を理解している先生は少ないので、拒絶されることもあります。

自律神経病研究会が有用な分析法を確立

この血液から自律神経のバランスを判定する方法を追求してきたのが、私が理事長をやっている「自律神経病研究会」です。

白血球の中の顆粒(かりゅう)球とリンパ球のパーセンテージ(割合、分画と言います)を見て、自律神経のバランスが良いか悪いか判断できるというとても簡便で有用な方法です。

安保先生の理論は"安保理論"、その理論をもとに自律神経を調整しようと考えている研究会が「自律神経病研究会」。ここには医師、歯科医師、鍼灸(しんきゅう)師などの国家資格を持つ人や、国家資格はなくても安保理論を勉強して日常の施術に生かそうと勉強している人が参加しています。

安保理論の一般的な実践法が"爪もみ療法"として広く知られるようになり、多くの人が名前を知っているのではないでしょうか。これまでの西洋医学では考えもしないようなことに目を付けて、自律神経の状態を分析できるのですから、素晴らしい方法なのです。

この分析法を使って、円形脱毛の自律神経のバランスを測ったりしていますが、ここでは脱毛症の原因を追求しているので、その結果は後日お知らせすることにしましょう。

さて、自律神経が毛細血管を収縮させたり、拡張させたりすることは分かったと思いますので次に進みましょう。

どの脱毛も「毛細血管の血流障害」は共通の原因

「ストレスで交感神経が緊張して血管が収縮する」ということは広く認められています。狭心症、心筋梗塞や脳梗塞は交感神経の緊張が誘因となって太い血管がキューと収縮して起こります。

毛髪でも細い血管(毛細血管)で同じようなことが起こるのです。毛球に入ってくる血管は持続的なストレス状態が続くと血流障害が起こり、毛母細胞への栄養が悪くなります。その結果、栄養失調の細胞が増えてきます。

これは円形脱毛だけでなく、壮年性脱毛や女性の脱毛でも同じことです。この真理に気づく人は皆無と言って良いと思います。多くの人は考えたこともないでしょう。

円形脱毛、男性型脱毛、女性の薄毛は全く別のものと認識していませんか。実際、これらには毛細血管の血流障害という共通の原因があるのです。

ここを理解するだけでも、考え方が変わってきます。日照りで花壇の花が枯れること、山の森が枯れること、林が枯れること、となりの芝生が枯れること、関係する要因は多少違うでしょうが、お水が足りなくなって枯れるということが共通した原因です。

おわりに

髪の毛は植物と同じですから、全く同じ理屈が成り立ちます。毛髪が置かれた環境でいかに頑張っているか、植物と同じように考えると理解しやすいこと、脱毛症の根本的な原因が血流障害であることまでが理解できたと思います。

やはり円形脱毛症まで行きませんでしたね。次回は関与する要因について簡単に説明しましょう。

著者情報

永野剛造(医学博士・日本自律神経病研究会理事長)

永野先生

昭和50年:慈恵医大卒業・麻酔科研修開始
昭和52年:慈恵医大麻酔科入局
昭和59年:富士中央病院麻酔科部長
昭和62年:慈恵医大皮膚科入局
平成3年:同退局
平成4年:永野医院を開業し、現在に至る

  • ・円形脱毛症などの脱毛症やアトピー性皮膚炎などを、西洋医学と針などの東洋医学を併用して治療にあたっている
  • ・16年前から安保徹先生、福田稔先生と自律神経と免疫の研究を行い、現在、「自律神経病研究会」の理事長をつとめる
  • ・独自の波動測定によりエネルギーの研究、治療を得意とし、脱毛症の治療に特別な成績を残している。
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